抜歯矯正中心の現状
100年の矯正治療技術の歴史を築くアメリカの歯科大学では、今でも歯を抜く矯正を中心に教育しています。その意味では、抜歯矯正テクニックが世界のスタンダードだと言えるでしょう。
当然、日本でも全く同じ教育基準(抜歯矯正テクニック中心の教育)です。ですから、あなたが矯正歯科へ行くと、矯正専門医の先生が「あなたの歯の状態では、第一小臼歯を抜かないと矯正できません」と言うのです。
ちなみに第一小臼歯とは、前から4番目の歯で、犬歯の後ろにある歯です。この第一小臼歯を抜くことを「便宜抜歯」といいます。「必要抜歯」とは全く意味が違います。本当に、この第一小臼歯をそんなに簡単(便宜)に抜いてよいのでしょうか?
もちろん、すばらしい矯正医により、小臼歯抜歯が良い結果がもたらされることもあります。しかし、歯を抜いて矯正した患者さまの中には、残念な結果になってしまった方が多いのも事実です。
非抜歯・非外科 矯正治療との出会い
私は、1993年の渡米(ボストン)から2005年までのアメリカ滞在でボストン大学歯学部を卒業してアメリカ歯科医師免許を取得しました。そしてその間、DR.YOUNG. H. KIM に師事し、MEAWテクニック(非抜歯法・非外科法)を12年間学び、日本に帰国後は、当時、神奈川歯科大学矯正科にいらっしゃった佐藤教授に不正咬合の発現するメカニズムと咬合再構成の理論を学びました。
私がこうして体得した MEAWテクニックは、歯を抜かない(非抜歯矯正)、外科手術をしない(非外科矯正)、安定したかみ合わせと安定した顎位の再適応を可能にする矯正治療法です。MEAWテクニックを用いて戦略的に咬合再構成を構築する治療法を「MEAWセラピー(MEAW THERAPY)」と呼びます。
このMEAWセラピーにより、一般的には外科手術を必要とする不調和な骨格性および噛み合わせのトラブル(顎関節症・顎機能障害)を解決できるようになりました。
当院では、状況によっては、まれに第一小臼歯を抜くことはありますが、およそ90%は小臼歯を抜かずに矯正治療を終えています。また、骨格性の難症例治療でも外科手術をしたケースは、一つもありません。
「成功的な結果と満足できる完成を生み出すためには、鋭い感覚のある判断が必要とされる(ドクターKIMの言葉)」
「ダイヤモンドよりも歯の方を千倍も大事にすべきだ(スペインの諺)」
歯の価値を知れば知るほど、虫歯でもない健康な歯を抜かなければできない矯正治療の手技の限界を認めることへの矛盾は深まり、歯を抜かない矯正治療、外科手術をしない矯正治療を可能にするMEAWセラピーの優位性を感じています。